大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)1321号 判決

(五) 借地法第十条によれば、同条所定の買取請求権は賃貸人が第三者の地上物件の譲受に伴う敷地賃借権の譲受又は賃借敷地の転貸を承諾しない場合に行使されるものであるから、これが行使にあたつては、第三者の地上物件譲受当時敷地賃借権が存在し第三者が地上物件の譲受と同時に敷地賃借権を譲り受け又は賃借敷地の転貸を受けたことを要するものといわなければならぬ。従つて第三者の地上物件譲受当時既に敷地賃借権が消滅していた場合には、地上物件の譲受に伴う敷地賃借権の譲受又は賃借敷地の転貸ということはあるべき筈なく、これに対する賃貸人の承諾拒絶ということは無意味であるから、この場合右地上物件の譲受人は土地所有者に対し地上物件の買取を請求することのできないのは当然のことであり、この点に関する原審の解釈は正当であつて、控訴人の主張は独自の見解に出るものであつて採用することはできない。

控訴人は又同条にいわゆる「借地権者が権原に因りて土地に附属せしめたる物」とは、地上物件の前所有者すなわち譲渡人がたとえその敷地使用につき土地所有者に対抗しうべき権原を有していなくても、当初の賃借人がその賃借権に基き土地に附属せしめたる物であれば足ると解しているようであるが、「借地権者が権原に因りて」とは、賃貸人に対する関係において建物その他の物件の敷地賃借権が有効かつ適法に存在すること、換言すれば、地上物件の前所有者すなわち譲渡人がその敷地を占有できる正当の権原を有する意味であるから、本件においてたとえ最初の賃借人植木豊がその賃借権に基いて本件地上に本件建物を建築したとしても、そのことは本件買取請求権の有無に何等影響を及ぼさないものといわなければならぬ。

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